宥和
ルークたちは測定器を取りに行くべく、シェリダンへ向かっていた。 なぜシェリダンかと言えば、ベルケンドはヴァンの息がかっていて、やはりそこで作業をするのは困難だと手紙が来たからである。 ルークたちはシェリダンに着くなり、集会所に行く。すると外ではタマラとキャシーの姿があり、げんなりとした様子であった。 ルークたちはそれに不思議に思いながらも集会所の中に入っていく。 するとヘンケンとアストン、イエモンの三人が言い争っているではないか。 二人が呆れて外に出ていたのもうなずける程の喧嘩である。 ルークたちはその老人たちを宥め、オールドラントの危機だと言って老人たちに言い聞かせた。 やっとの思いで計測器を手に入れたルーク一行はセフィロトがあるタタル渓谷にやってきていた。 ルークが以前タタル渓谷に訪れた時は夜中でその渓谷の様子はほぼ見れなかったのだが、今は違う。 自然に溢れ、小さな花が群生して咲いている渓谷は美しかった。 それに目をやりつつ、ルークは口にする。 「前に来た時は、セフィロトらしい場所はなかったと思ったけどな」 「あの時は夜だったから、見落としたのかもしれないわ」 「あれぇ?夜中に二人でこんなトコにきた訳ぇ?あ〜やし〜いv」 「……んまあ、ルーク!あなた、ティアとそんなことになっていましたの!?」 毎度の如く女性たちはルークを取り合っているらしい。 しかしルークは女性じゃないか、とガイは思う。一体どうするつもりでいるのだろうか。 そんなガイの悩みなど知る由もないルークはしどろもどろに弁解して、ティアがきっぱりと言う。 「ありえないから。――何してるの?行きましょう」 「……なんかむかつく」 ルークは少し口を尖らせてそう呟いた。 ティアのたったその一言にナタリアとアニスは目が覚めたようだった。 出来るだけその話題を触れないように仲間たちは歩いていく。 渓谷の奥へとやってくると、アニスが急に声を上げた。 「あ〜〜〜〜っ!?」 「どうしたの、アニス」 ティアが問いかければ、アニスが何かを指さす。 「あれは、幻の『青色ゴルゴンホド揚羽』!捕まえたら、一匹あたり400万ガルド!!」 「おい、アニス」 崖沿いに走っていくアニスをルークは心配して声をかけるが彼女には届かない。 アニスは揚羽にしか眼中がなく、その時突如揺れが起こった。 「きゃぅっ!?」 「アニス!」 アニスが崖に落ちるのが見えたティアが叫ぶ。 アニスは咄嗟に崖に掴みかかったが、見るからに頼りない。 ガイは揺れが収まると同時にアニスに走っていき、今にも落ちそうになっているアニスの腕を掴んだ。 「ガイ……ありがとう」 「…礼を言うようなことではない」 ガイはアニスを引き上げ、アニスはガイにお礼を言った。 ガイは相変わらずそっけない返事だったが、アニスにはそれで充分であり、笑顔だ。 ルークはその様子をじっと見ていて、なんだか胸がもやもやする。 ガイはアニスが大切なのかもな、そう思うと落ち着かなかった。 ルークたちはさらに奥へと進むと、霧が深くなってきた。 すると嘶(いなな)きのような声が聞こえ、ユニセロスが濃霧の中襲ってくる。 ルークたちは苦戦しつつも、なんとか倒すことが出来た。 しかしユニセロスは普段大人しい生き物だ。襲ってくることはまずないといっていい。 そんなユニセロスにティアは治癒術を掛け、傷を癒した。 ミュウにユニセロスから事情を聞くように頼めば、ユニセロスは言った。 「ティアが障気を吸っている」「障気が嫌いで苛ついて襲った」 しかし最後ユニセロスは傷を癒したティアにお礼を述べて、去っていく。 それにルークたちは顔を顰めていた。一体どういう意味なのか測りかねているのだろう。 ガイは知っているというのに、沈黙を保った。 それよりセフィロトをどうにかして、崩落の危険性を取り除きたかったのだ。 セフィロトに入り、ティアが装置を起動させる。 ティアは少しばかり辛そうに見えるが、ガイは操作盤を動かした。 「外殻降下の準備をした方がいいですね。私が指示を出しますからその通りに操作して下さい」 「分かった」 ジェイドの言葉を受けてガイが操作する。そうすると図面になにか変化があった。 「これで一度に降下作業が出来るはずです」 ジェイドが息をつき、ガイが操作盤を離れて計測器をセフィロトにあてる。 ポーンと音が鳴ったと思うと、それで計測は終わりだった。 アニスはつまんなーい、と口を尖らせるが、ジェイドは楽しませる為の計測ではありませんからね、と肩を竦める。 シェリダンに戻ると、イエモンたちは作業に追われていた。 まだ暫く装置の開発に時間がかかるということと魔界に落ちても壊れなかったタルタロスの頑丈さを買って、それを改造して作っているらしい。 ルークたちは暫くシェリダンに滞在することとなった。 集会所を後にすると、ルークの足が止まる。それに仲間たちは足を止めて振り返った。 「なあ、ちょっといいか?」 「どうしたの?」 ティアが真面目な顔をしたルークに首を傾げる。 「ずっと考えてたんだけど、大陸の降下のこと、俺たちだけですすめていいのかな?」 「ん?どういうこと」 いまいち容量を得ないアニスがルークに訝しい目を向けた。 「世界の仕組みが変わる重要なことだろ。やっぱり伯父上とかピオニー皇帝に、ちゃんと事情を説明して協力しあうべきなんじゃないかって」 「………ですが、そのためにはバチカルへ行かなくてはなりませんわ」 ルークの言葉に誰もが驚く中、ナタリアは一人暗い顔をする。 ルークはナタリアにはっきりと告げた。 「行くべきなんだ」 「ルーク……」 ナタリアが不安げな顔をする。それでもルークは力強く訴えた。 「街のみんなは命がけで俺たちを……ナタリアを助けてくれた。今度は俺たちがみんなを助ける番だ。ちゃんと伯父上を説得して、うやむやになっちまった平和条約を結ぼう。それでキムラスカもマルクトも、ダアトも協力しあって、外殻を降下させるべきなんじゃないのか?」 ルークの言葉にティアは強く頷いた。しかしナタリアの睫毛は翳る。 「……少しだけ、考えさせて下さい。それが一番なのはわかっています。でもまだ怖い。お父様がわたくしを……拒絶なさったこと……。ごめんなさい」 「仕方ない。ナタリアが決心してくれるまで、待つしかありませんね」 一人歩きだしたナタリアを、ジェイドは止めることはしなかった。 仲間たちもそれぞれ自由時間となって、ばらばらに別れて行く。 ガイはシェリダンの南側にいた。街の出入り口だ。 そこから真っすぐ出て行くとすぐにメジオラ高原が目に入る。ガイはそちらに何となく目をやった。 ガイの背に赤い目が向けられる。 「ガイ。あなたの望みがやっと叶いますよ」 「そうだな」 ガイはそれを認めた。ここで黙っていても仕方がないからだ。 ジェイドはそれを聞くと、先程より声を落とした。 「それで、その後はどうするつもりなんですか?」 「和平が結ばれれば、ヴァンを倒す光明となるだろう」 ジェイドはその言葉に空々しく笑った。ベルケンドで言ったことが見事に当たったというわけだ。 しかしこんなもの誰でも想像がつく。問題はその後だ。 「ヴァンを倒したその後は?」 「倒した後は両国の足並みを揃える」 それ以外、することがあるのかと問うようにガイは言った。 明らかにそれだけではない癖に、そんな風に言うガイが憎らしい。 「…そういうことにしておきますよ。ですが、くれぐれも妙な事は考えないで下さい」 「…」 ジェイドはその場を去っていき、ガイは空を仰いだ。 憎らしいほど青いその空は、あの日の空によく似ている。 ガイは目を地面に下ろし、宿屋に向かって歩き始めた。 ルークは言ってから気付いたことがあった。 平和条約を結んだら、ガイは目的に達成するのではないか。 しかしガイは預言を失くすとも言っていて、一体どうするのかよくわからない。 宿屋でまた夜中になったらガイが教えてくれるかな。ルークはそんな淡い期待を持って宿に入る。 「ルーク。奇遇ですね。今日は三人部屋で仲良くしましょうね」 「…」 部屋に入るなり、ガイと一緒にジェイドの姿もあった。 ルークはそれを見て思い出す。そうだった。 シェリダンの宿屋は部屋数が極めて少なく、普通の宿では珍しい三人部屋しかなかったのだ。 ルークはこれでは聞けないが、ついガイの横顔を見る。 何度も何度もルークがそちらばかり見るので、さすがにジェイドも気になって声をかけた。 「ルーク。ガイに聞きたいことがあるんじゃないですか?」 「べ、べつに!」 ルークは慌てて顔を逸らすが、ジェイドはルークに耳打ちする。 「平和条約のことでしょう?気になるのだったら聞いてしまいなさい」 「…」 どうせ、私と同じことをあなたも言われるでしょうがね、という言葉はジェイドの胸の内にしまう。 ルークは何で分かったんだという顔をし、余計なんだかガイに聞き辛くなってしまったなといった風だった。 結局ルークはガイの事でよく眠れず、廊下に出ようとするとナタリアの姿が目に入った。 朝日が昇って間もないこの時間でもナタリアはしっかりと身なりを整えた様子で歩いていく。 ルークはその後を追った。昨日のナタリアはかなり思い悩んでいる様子だったからだ。 ナタリアの後を追うと、ナタリアは地平線上に昇りゆく太陽を見つめていた。 ルークは声をかけようか迷っていると、アッシュが姿を現す。 ナタリアはアッシュに内心を吐露し、アッシュはナタリアを勇気づけた。 自分にはできなかったことをアッシュはあっさりとして見せる。 ルークはつい打ちひしがれそうになるが、その場を後にした。 「……立ち聞きは良くないわ」 「……聞こえちまったんだよ。それに声、かけにくい雰囲気だったし」 宿屋に戻るとティアがルークを見るなり、そう声をかけてルークは目を伏せた。 ティアは気のない返事でそう、とだけ言い、ルークはその横を通り過ぎて行った。 次にナタリアの姿を見たときには彼女は吹っ切れた様子だった。 バチカルに行くと言ったナタリアに対し、ジェイドはそういってくれると思って、インゴベルト陛下宛ての書状にしておきました、と口にする。 そうしてルーク一行はバチカルへと向かった。 バチカルに到着し、城に向かう。 城に入るのにイオンが手伝い、ルークたちはインゴベルトの私室に向かった。 インゴベルトはナタリアが部屋に入ってくるのを見ると狼狽した。 「へ、兵たちは何を……」 「伯父上!ここに兵は必要ない筈です。ナタリアはあなたの娘だ!」 ルークが力強く言っても、インゴベルトは当惑したままだった。 「……わ、私の娘はとうに亡くなった……」 「違う!ここにいるナタリアがあなたの娘だ!十八年の記憶が、そう言ってる筈です!」 インゴベルトは迷った様子を見せ、ナタリアはインゴベルトの事を「お父様……いえ、陛下」と口にし、訴えかける。 ルークやナタリア、イオンという若い面々に畳みかけられたインゴベルトは黙っている。 ジェイドはインゴベルトに書状を渡し、後日改めて陛下の意志を確認すると言った。 ルークは兵を待ち伏せされたらどうするんだよ、とジェイドに言ったが、ジェイドは前のように市民が立ち上がることと何の工作もなく飛び込んで来ないとインゴベルトを脅した。 インゴベルトは明日の謁見の間にて改めて話をする、とだけ言ってくれた。 ルークたちはそれを聞くと部屋を後にする。 後にルークが何時の間にジェイドが手を回したのか訊ねるとジェイドははったりにきまってるじゃないですかと空々しく語る。 ルークの顔が憮然となったのは言うまでもない。 翌日謁見の間に通り、インゴベルトはルークたちに第六譜石とそちらの意見が食い違うと言ってきた。 ルークは自分が生まれたせいで預言が狂い始めたと陛下に主張する。 ナタリアも預言を繁栄は得られないと訴えるが、モースが邪魔をした。 「だまされてはなりませんぞ、陛下。貴奴ら、マルクトに鼻薬でもかがされたのでしょう。所詮は王家の血を引かぬ、偽物の戯言……」 「だまりなさい。血統だけにこだわる愚か者」 モースの言葉をイオンが一喝する。 「生まれながらのの王女などいませんよ。そうあろうと努力したものだけが、王女と呼ばれるに足る品格を得るのられるのです」 「…… ジェイドの言うような品性がわたくしにあるのかはわかりません。でもわたくしは、お父様のお傍で十八年間育てられました。その年月にかけて、わたくしは誇りを持って宣言しますわ。わたくしはこの国とお父様を会いするがゆえに、マルクトとの平和と、大地の降下を望んでいるのです」 ジェイドとナタリアの説得を聞き言ったインゴベルトは重い口を開いた。 「……よかろう」 「伯父上!本当ですか!」 ルークが嬉しさで声を上げる。 しかしインゴベルトの傍らにいるモースとアルバインは非難の声を上がった。 「なりません、陛下!」 「こ奴らの戯言など……!」 「だまれ!我が娘のことを、戯言などと愚弄するな!」 「……お父……様……」 ナタリアは今までずっと我慢していたのだろう。彼女の目にはうっすらと涙が浮かんでいる。 インゴベルトはナタリアを温かく迎え、ナタリアはインゴベルトに駆け寄った。 インゴベルトはナタリアをしっかりと受け止めて、ルークはそれに顔を綻ばせる。 キムラスカ側は理解してくれた。次はマルクトだ。 ルークはアルビオールに足を進めつつ、後方を歩くガイが気になった。 マルクトならすぐに了承してくれそうなものだが、もし和平を結んだら彼はどうなるのだろう。 予想していた通りピオニーはあっさりと承諾したが、問題は山積みだった。 どこで平和条約の調印を行うかという問題が浮上し、モースから邪魔をされない為にもユリアシティで執り行うこととなった。 そのためには浮遊機関が必要であり、ルークたちはダアトで六神将であるディストの行方をトリトハイムに訊ねる為にダアトの教会へと向かう。 ダアトの教会の入り口付近に差し掛かったところで、真っ先歩いていたアニスの頭に何かが当たり、彼女は振り返る。 「いったーい!―誰だ、ボケぇっ!?」 本性を出して振り返ったアニスはさておき、ルークは足元に落ちている手紙を拾い上げた。 それはディストからの手紙だった。 飛行譜石はダアトにはない、絶対にダアトにはないと繰り返し書かれていていかにもダアトにありますと言わんばかりである。 ルークたちはダアトで飛行譜石を捜すことにし、ケテルブルクにいるだろうディストは無視した。 そうして飛行譜石を預かったというライナーというオラクル兵に出会い、ティアは譜歌を使って彼を眠らせ、ルークたちは飛行譜石を得た。 ルークはそれをなんかあくどい気がすると複雑な表情を浮かべ、ナタリアも同様に顔を暗くする。 イオンも良心が痛みます、と言ったのだが、アニスは背に腹は代えられないしと割り切った様子であり、ティアも非常時よ、行きましょうと悩む仲間を促す。 そしてアルビオールが飛行機能を取り戻し、次に向かったのはケセドニアだった。 自治区であるケセドニアは本来両国に口をはさめるような権限は持たないが、イオンからの申し出もあって、彼を平和条約の場に呼ぶ事にした。 ルークたちはケセドニアで一晩過ごすことになったが、またジェイドと同室ということもあり、ルークはティアを部屋に呼び出した。 その時はガイもジェイドもその場におらず、ルークはティアに障気について訊ねる。 次第に自分の弱さを吐露したルークにティアはルークを慰めた。 翌日になってルークたちはユリアシティにやってきた。 昨夜のうちに両陛下をユリアシティに運んでいたため、ルークたちが会議室に向かうとそこには両陛下の姿が既にあった。 両陛下の調印が済み、テオドーロがそれを確認する。 「結構です。それではこれらをもって、平和条約の締結といたします」 「……ちょっと待ってくれ」 そう声を上げたのはピオニーだった。 そうしてピオニーはガイの方へ視線をやる。 「ガイラルディア。お前の望む様に和平が取り成されようとしている。だが、お前は一体何を考えているんだ」 「…」 ジェイドはピオニーにしては良く考えたものだと思った。 彼は今まで何気ないふりをしていたが、実はずっとガイの事を案じていたのだ。 それに内心少しジェイドは驚いたものの、この場で聞けば間違いなくガイは目的を答えざるを負えない。 「…以前にもキムラスカは同じような取り決めをしました。私の母であるユージェニー・セシルを和平の証としてホドのガルディオス伯爵家に嫁がせた…」 「…ガルディオス伯爵夫人に手を掛けたのは私だ。あの方がマルクト攻撃の手引きをしなかったのでな」 ガイの言葉に答えたのはクリムゾンだった。ルークは目を見開く。 「父上!本当に……」 「戦争だったのだ。勝つ為なら何でもする。……おまえを亡きものにすることでルグニカ平野の戦いを発生させたようにな」 ルークはそれに黙り、沈痛な思いで目を伏せる。 沈黙が落ちたこの場に口を開いたのはピオニーだった。 「だが、おまえはキムラスカだけではなく、マルクトがホドの消滅の手引きをしたことも知っている」 「……どういうこと!」 ティアが声を上げる。ピオニーの言葉にその場にいた誰もが驚いた。 マルクト側から来たガイやジェイド、言った張本人であるピオニーは平然とした様子で、ルークたちは当惑する。 その様子を見たピオニーはジェイドに視線をやった。 「ホドではフォミクリーの研究が行われていた。そうだな、ジェイド」 「戦争がはじまるということで、ホドで行われていた譜術実験はすべて引き上げました」 ジェイドの答えを聞くと、ピオニーは手を組む。 「前皇帝――俺の父は、ホドごとキムラスカ軍を消滅させる決定をした」 「当時のフォミクリー被験者を装置につなぎ、被験者と装置の間に人為的に疑似超振動を起こしたと聞いています」 その事実を聞いて、アニスが呟いた。 「ひどい……。被験者の人が可哀想」 「そうですね。被験者は当時11歳の子供だったと記憶に残っています。ガルディオス伯爵家に仕える騎士の息子だったそうですよ。名前は……フェンデ家」 「フェンデ!…そんな、まさか」 ルークは目を見開いた。 その名を前にガイの口から聞いている。 「そうだ。ヴァンデスデルカ・ムスト・フェンデ。今はヴァン・グランツと名を改めた」 「……兄さん」 ティアが目を伏せ、ルークは視線を彷徨わせる。 そうしてピオニーは当初の目的をガイに伝えた。 「それでお前はどうするつもりだ?両国を憎む理由があるお前を俺は止めようとは思わんが」 「私は預言を放棄することが望みでした。両国が預言に振り回されぬというのなら、私は全力でヴァンを止めるのみでございます」 ガイの言葉を聞いたピオニーはそれに頷き、問題なく平和条約が交わされた。 ガイの目的はやはり不透明だが、彼の第一の目的であるのがヴァン撃破だと分かっただけましなのだろう。 そうしてルークたちは地殻の振動をどうにかするためにシェリダンへ向かった。 アルビオールに乗ったルークだったが、ガイを不安げに見る。 まさか両国から見捨てられていたとはルークは知らなかった。 ガイは一体今どんな気持ちなのだろう。ルークは胸を痛めながら、魔界の空を見た。 紫色で、雷鳴が轟くその空は救いなどと言う言葉が一切生まれないようなものだった。 あとがき ゆったりペースが毎度の如くです。 ルークがガイと二人っきりになれる頻度が減ってガイの感情が掴めない感じになってます。 この先二人の関係がどうなるのか見ものです(…)。 いや純粋にひっついてほしいんですけどね。なかなか難しいです。 本編に沿おうとするルクティアの描写があるので結構ティアとルークを離してます。 会話するはずだったのにこの野郎切り捨てやがったと思ったらすいません。 所々で本編と話を変えまくっているので、これからもどんどん変わることを想定して読んで行って下さいませ!逃 |