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ルークが次に目を覚ました時には、辺りは紫の靄につつまれていた。
空は雷鳴が響き、自分のいる大地は崩れ、紫のマントルに沈みこもうとしている。
まるで地獄みたいだ。ルークは薄らと、辺りを見回しても生命の息吹をまるで感じられない。
死に絶えた世界だ。そう思っていると、ジェイドが仲間に声をかけた。

「ここでこうしていても仕方がありません。タルタロスに乗りましょう。中を少し確認しましたが、問題ありませんでしたから」
「そうですね。―行きましょう」

ティアがルークを促す。ルークは判然としない様子で、言われるままタルタロスに入った。

タルタロスは沈みかけた大地に接岸するように非常口用の昇降口が開いていた。
そこから乗り込み、仲間はなんともなしに甲板に出た。

誰からここはどこなんだ、という台詞が出ただろうか。
ティアはそれに応えるべく、ここは魔界(クリフォト)と言った。
ティアは魔界出身で、ヴァンの計画を阻止するために外殻大地、つまりルークたちのいる世界を守るためにやってきたと言った。
しかし結局それは措置できず、大地は崩れ落ちた。

「何故こんなことになったんです? 話を聞く限り、アクゼリュスは柱に支えられていたのでしょう?」
「それは……柱が消滅したからです」

ジェイドの疑問に答えたのはティアだった。そうしてティアはルークに目を這わせる。
自然と仲間の目が集まり、アニスはその現場を見ていただけあって口にした。

「つまり…ルーク様のせいってことですか?」
「……お、俺は悪くねえ! 俺はただ障気を中和しようとしただけだ! あの場所で超振動を起こせば障気が消えるって言われて……!」

ただヴァンの言葉を信じて、力を奮っただけなのはイオンもアニスも分かっていた。
あの現場にいた自分たちもつまり同罪であり、二人は目を伏せる。
しかしティアはルークに突き付けた。

「あなたは兄に騙されたのよ。そしてアクゼリュスを支える柱を消してしまった」
「そんな!そんな筈は……」

ルークは否定しようとするが、出来なかった。
ヴァンは確かに自分を見て『愚かなレプリカルーク』と言ったのだ。

「僕が迂闊でした。ヴァンがルークにそんなことをさせようとしていたなんて……」
「……せめてルークには、事前に相談して欲しかったですね。仮に障気を中和することが可能だったとしても、命に関わるような危険を犯すことに変わりはありません。……今となっては言っても仕方のないことなのですが」

辛そうに目を伏せたイオンに対し、ジェイドは辛辣にルークを責める。
沈んだ大地はルークのせいだと責め立ててくるようで、ルークは顔を俯けた。

「…アクゼリュスの民は一体どうなったのでしょう」
「アクゼリュスにはいなかったけど…」

ナタリアの言葉に答えたのはアニスであり、その先を口を噤んでしまった。
誰もが住民たちをヴァンが殺したと考える。ティアは悲痛そうに眼を伏せ、ジェイドが口を開く。

「ヴァンが住民を殺したとは考えにくいでしょう。先遣隊が生き残っている可能性はないですが、アクゼリュスの住民は違います」
「どうしてですか?」

ティアが感情を押し殺した様子でジェイドを見る。
ジェイドがティアを慰めるということはまずないだろうが、これは藁にもすがりたくなるような言葉だった。

「どの家も荒された形跡がありませんでした。住民は連れていかれたと考えるべきでしょう」
「連れていかれた…?でも一体何のためにですか?」

首を傾げたのはアニスだ。
だがジェイドの言う通り住民の家は荒された形跡も、殺された痕も見られなかった。
もし住民を連れ去ったとして、何故住民を助けたのか分からないのである。
それに助けた相手はヴァンに限られ、大地を落とすよう手引きした張本人がそんなことをするなど考えにくい。

「それが分かったら苦労しませんよ。ただ住民をヴァンが救ったとは思えません。住民が消えてから随分経っています。たとえ自分の部下に指示を出したとしても何千もの人間を運びだすのはこの旅の間では不可能です」

ジェイドの言葉に皆黙り込む。では誰が助けたのだ。
住民を連れ去るのはかなり骨が折れるというのにそんな労力を厭わないほど、人手が欲しい人物などいるのか。
マルクト側は橋が壊れ、救えない。キムラスカ側はデオ峠を越えなければならない。
それにもしデオ峠を通ったとしたら、カイツールは通らねばならない道なのだ。
カイツールで多くの住民を見たという話は生憎ジェイドは聞き覚えがなかった。
そもそも大勢の人がやってきたなら、何かしら親善大使であるルークに連絡するだろう。

「ここで話をしていても仕方がないわ…。――ユリアシティに行きましょう」
「タルタロスを動かすには最低四人が必要です。ティア、アニス、ナタリア。手伝って頂けますか?」

ジェイドは敢えてルークを外し、その三人とイオンを連れて艦橋に入っていく。
ルークはただ一人その場に残り、外の風景を茫然と眺める。
仲間たちは住民がいなかった手前ルークをあまり責めなかったが、きっと軽蔑しているに違いなかった。
ルークは自分自身許せなかった。救いたいと思った結果が、大地を崩落させた。
ヴァンの言葉は前々から怪しいと気付いていたのに、最終的にはその甘い言葉に乗せられた。
ナタリアが自分に声をかけないのは、あまりにも変わってしまった自分に失望したからだ。
彼女はよく昔のプロポーズの言葉を思い出せとルークに言った。
ルークは最初こそは純粋に思い出してやりたいと思ったが、次第にそれを疎んだ。
ナタリアは今の自分じゃなく、過去の自分に恋をしている。
それが腹立たしかった。それが悲しかった。それが苦しかった。
その時ルークはヴァンの言葉を思い出す。

『愚かなレプリカルーク』

あれは一体どういう意味なのだろうか。
愚かというのは盲目なほどヴァンを信じた自分の姿を嘲っているのは分かる。
しかしレプリカという意味が、ルークには分からなかった。

「複製品、贋作…って意味だよな」

なぜそれをヴァンは言ったのだろう。
ルークは考えれば考えるほどレプリカという不可解な言葉が恐ろしくなって、考えることを放棄した。



紫の泥海の中に一つの島らしいものが見えてきた。
上から滝のように水が降り注ぎ、タルタロスが水圧で潰れるかと思いきや、近くに行くとその水は霧散して消えていく。
懸念していた水圧は全く問題なく、タルタロスはユリアシティに停泊した。

ティアは市長のもとに案内するわ、といって仲間を促した。
外殻大地ではまず見られないような建物に仲間は驚きつつも進む。
ルークはそんな仲間から一歩引いて、最終的には足が止まった。

「……いつまでそうしているの? みんな市長の家に行ったわよ」
「……どうせみんな俺を責めるばっかなんだ。行きたくねぇ」

市長のもとへ案内し終わったティアが、戻ってきた。
ルークはそれに目を逸らしたまま、不貞腐れたように答える。
そして背後から怒声が響く。

「とことん屑だな! 出来損ない!」
「……お、お前!」

ルークが振り返るとそこにはアッシュが立っていた。
あの時確か、アッシュはヴァンと一緒に魔物去ったことを思い出したルークは声を張った。

「どうしてお前がここにいる! 師匠はどうした!」
「はっ! 裏切られてもまだ『師匠』か」

ルークはその言葉に目を伏せる。

「……じゃあ本当に師匠は俺にアクゼリュスを……」
「くそっ! 俺がもっと早くヴァンの企みに気付いていれば、こんなことにはっ!」

信じたかった。そう思っていたルークの横でアッシュは己の失態に憤り、吐き捨てた。
しかし次の瞬間アッシュは鋭くルークを睨む。

「お前もお前だ! 何故深く考えもしないで超振動を使った!?」
「お、お前まで俺が悪いって言うのか!」

仲間は決してルークが悪いとは口にはしていないが、目がそう言っていた。
だが、自分が悪いなんて認めたくない。そんな思いで叫んだルークにアッシュは激昂した。

「悪いに決まってるだろうが! ふざけたことを言うな!」
「俺は悪くねぇっ! 俺は悪くねぇっ! 俺は……」

ルークは必死に否定する。するとアッシュの怒号が響く。

「冗談じゃねぇっ! レプリカってのは脳みそまで劣化してるのか!?」
「レプリカ? そういえば師匠もレプリカって……」

タルタロスに一人残された時に考えて、結局答えが出なかった言葉だ。
アッシュは不思議そうに口にしたルークを嘲笑する。

「……お前、まだ気付いてなかったのか! はっ、こいつはお笑い種だな!」
「な、なんだ……! 何なんだよ!」

馬鹿にされて、ルークはついその挑発に乗ってしまった。
それ以上聞けば、分かってしまう。知りたくないものを知ってしまう。
心の中で警鐘が鳴っている。だというのに、アッシュは口元を歪めて言う。

「教えてやるよ。『ルーク』」
「アッシュ!やめて!」

ティアが止める様に声を張るが、アッシュは無視した。

「俺とお前、どうして同じ顔してると思う?」
「……し、知るかよ」

ルークは全身の毛が逆立つ。怖い、でも聞きたい。
ルークにそんな思いが入り混じり、アッシュはそこに付け込んだ。

「俺はバチカル生まれの貴族なんだ。七年前にヴァンて悪党に誘拐されたんだよ」
「……ま……さか……」

ルークは身体の力が抜けた。言葉がうまく継げない。
アッシュはその様子を見て、声を張った。

「そうだよ! お前は俺の劣化複写人間だ。フォミクリーで作られた、ただのレプリカなんだよ!」

複写人間。その言葉を理解するのに、そう時間がかからなかった。
理解すると同時に、ルークの心の中で叫ぶ。

(俺は人間だ!本物だ!でも俺には記憶がない。…俺には、記憶がない。じゃあレプリカ?でも俺は違う。違う違う違う!!!)

感情がぐちゃぐちゃになって、思考が目茶苦茶になる。
ルークは知らず知らずのうちに腰に掛けた剣に手を伸ばしていた。

「う……嘘だ……! 嘘だ嘘だ嘘だっ!」
「……やるのか? レプリカ」

構えたルークにアッシュが侮蔑した目を向けた。
その目はまさにヴァンに重なり、ルークの中であの言葉が蘇る。

『愚かなレプリカルーク』

「嘘をつくなぁーーっ!」

ルークはアッシュに斬りかかり、ティアが何か叫んでいる。
目の前が真っ赤に染まったルークは激情に任せ、アッシュに攻撃を繰り返す。
その度に自分と同じ技をアッシュが出し、ルークはますます錯乱状態になった。



次にルークが気付いた時には、どこかの部屋にいた。
部屋の中を見れば、ユリアシティの内部と似通ったものがある。
ルークはここがどこかと首を回そうとしても首は回らず、頭を捻った。
そこで判明したのが、これはアッシュの中であり、彼が見ようと思ったものしか自分は見れないということだった。
始めルークは当然のことながら混乱したが、寝ている自分の姿と側にいるミュウを見て信じざるを負えなくなった。
倒れて眠る自分を見て一つ分かる事は結局自分はアッシュに負けたのだということだった。
嘘だ、違う。そう思っていたのが、今ではすんなり受け止められる。
アッシュはそんなルークの様子など知った事ではなく、仲間のいる会議室に向かって歩いていく。

「アッシュ、あなたの話に乗ります」

アッシュが会議室に入るなり、そこで待っていたらしいジェイドが言った。
ルークは何の事だ、と不思議に思い、部屋の中を見渡せば他のメンバーがいる事も分かった。
アッシュが席に座ると、ジェイドは言葉を紡いだ。

「私は一度上に戻って、陛下に報告せねばなりません。ルークがいつ目覚めるのか分かりませんし、事態は急を要しますからね」
「…タルタロスの操作は大丈夫なのか?」
(そういや、最低でも四人いるとか言ってたな…)

ルークがアッシュに零すと、彼は顔を顰めた。

「どうしたんです。苦虫をかみ潰した顔で。…いえ、いつもそんな顔でしたね」
「ジェイド。あなたは確かタルタロスを操縦するのに最低四人は必要だと言っていませんでしたか?」

ナタリアが取り成すように言えば、ジェイドはええそうです、と頷いた。

「僕もジェイドと一緒に外殻大地に戻り、報告をしなければいけません」
「私はイオン様についていきます~」
「わたくしもお父様のことが気になりますわ」

ナタリアが不安顔で、ちらりとアッシュの方を見る。
そういえば、本物のルークはアッシュだからこいつがナタリアの本当の婚約者になるんだなとルークはそれで気付いた。
しかしアッシュはナタリアの方など見向きもせず、ジェイドを一瞥した。

「これで人数が揃ったな」
「ティア、あなたはどうしますか?」

ジェイドは不意にティアを見る。アッシュが入った時から黙ったままだったティアは、席を立ち上がった。

「私はルークが起きるまでここにいます。ルークを作ったのは…兄さんのせいだもの」
「…そうですか。ですがあなたが欠けるとなると戦力的に厳しいですね」

ジェイドが空々しく、肩を竦める。ティアは凛然とジェイドに言う。

「私は後ほど合流します。ユリアシティから外殻大地に行く道はダアトにあるアラミス湧水洞しかありません」
「ダアトのアラミス湧水洞ですね。覚えておきましょう」

ティアはそれだけ言いうと、出て行ってしまう。彼女はルークに対して罪の意識があるらしい。
ルークはそれを心苦しく思いながら、アッシュは今後の事の話を進めて行く。

アッシュはタルタロスを崩壊したアクゼリュスのセフィロトから吹き上げるセルパーティクルに押し上げ、外殻大地に戻った。
アッシュの指示を従うという条件でタルタロスと共に戻って来たジェイドは、まずはベルケンドに向かう。
アッシュはそこでヴァンの計画を調べ、スピノザという男から保管計画という言葉を聞いた。
スピノザはその名を言っただけであとは答えようとせず、アッシュは次にワイヨン鏡窟に向かったのだ。
そこで地表三千万平方キロメートルの、オールドラントの地表の十分の一のレプリカ情報があり、ホドの住民の情報があった。
とにかくヴァンがとんでもないことをしていることはルークにも伝わり、アッシュはその場を後にする。
ワイヨン鏡窟から出る途中で突如地面が揺れた。
ナタリアが倒れかけ、アッシュがそれを受け止める。
ナタリアはお礼を言って、アッシュはすぐ体を放した。

「今の地震、南ルグニカ地方が崩落したかも知れない」
「そんな!なんで!?」

驚くアニスに、アッシュは続ける。

「南ルグニカを支えていたセフィロトツリーを、ルークが消滅させたからな。今まで他の地方のセフィロトで支えていたが、そろそろ限界の筈だ」

ルークは自分のしてしまった事の重大さに悲痛な顔をした。
ジェイドは他に影響はないのかと訊ね、ヴァンがこれから大地を崩落させることが明らかになった。
そしてアッシュはルークから回線を切り離し、ルークは目覚める。



ルークが目を覚ますと、そこは以前アッシュの目で見た通りの部屋だった。
ミュウはルークが起きたことで喜び、ルークは早速ティアの姿を捜し、セントビナーが落ちると伝える。
ティアは目覚めたばかりの言葉に首を傾げた。

「……どういうこと? だってあなた、今まで眠っていたのに……」
「分かるんだよっ! あいつと俺は繋がってんだから!」

アッシュの目で今までの事を見たというルークにティアは鋭い目を向けた。

「……それが真実だとして、セントビナーの崩落をどうやって防ぐの?」
「あ、それは……」

ルークは言葉に詰まり、ティアは厳しい口調で言う。

「あなた、ちっとも分かってないわ。人の言葉にばかり左右されて、何が起きているのか自分で理解しようともしないで……。それじゃあ、アクゼリュスの時と同じよ」
「……はは……。ホントだな。ヴァン師匠が言ったから、アッシュが言ったから……って、そんなことばっか言って……」

ルークは空笑いをして、ティアはじっと見つめる。
するとルークはゆっくり顔を上げて、空を仰いだ。

「これじゃ……みんなが呆れるのも当然だ。だから俺を置いて行ったんだよな」
「知ってたの? みんなが外殻へ帰ったこと……」

ティアが少し気遣わしげに訊ねた。ルークはティアに目を落とす。

「さっきも言ったろ。俺とアッシュは繋がってるんだ。あいつを通じて見えたんだよ。……やっぱ、俺、あいつのレプリカなんだな……」
「ルーク……」
「俺、今まで自分しか見えてなかったんだな……。いや、自分も見えてなかったのかも……」
「……そうね」

ティアはルークの言葉に頷いた。ルークはそっとティアから目を逸らす。

「俺、変わりたい。……変わらなきゃいけないんだ」
「本気で変わりたいと思うなら……変われるかもしれないわ。でも、あなたが変わったところで、アクゼリュスは元には戻らない」

ティアは厳しい目をルークに向ける。

「あなたはどう変わるつもりなの」
「分からねぇ。……だせぇな、俺。こんなことしか言えなくて。アクゼリュスのこと……。謝って済むならいくらでも謝る。俺が死んでアクゼリュスが復活するなら……ちっと怖いけど……死ぬ。でも現実はそうじゃねぇだろ。償おうったって、償いきれねぇし。だから俺、自分に出来ることから始める。それが何かはまだ分かんねぇけど、でも本気で思ってんだ。変わりたいって」

ルークの言葉を聞いてティアは背中を向けた。ルークはその背中を目で追う。

「……あなた、やっぱり分かっていないと思うわ。そんな簡単に……死ぬなんて言葉が言えるんだから」
「そうかもしれない。けど、俺は償いたい気持ちは本当だ。俺の所為で、今も外殻大地が落ちてる。それを放っておけない!」

ルークは訴え掛けるようにティアにいい、ティアは振り返った。

「俺は変わって、セントビナーを救いたいんだ。頼む、ティア!力を貸してくれ」
「分かったわ。…まず、お祖父様に話を聞きに行きましょう、ルーク」

ルークはティアにお礼を述べて、アッシュの記憶で見た通りに会議室に向かった。
ティアはルークがお礼を述べた時目を丸くしていたのだが、ルークが走っていくのを見て慌てて後を追う。

ティアの祖父であるテオドーロはユリアシティの市長である。
そしてテオドーロはアクゼリュスは落ちるべくして落ちたと告げた。
イオンを軟禁して戦争を起こそうとしたのも、ルークがアクゼリュスを落としたことも全て秘預言によって定められたものだという。
その事実を知ったティアは声を張り上げた。

「……お祖父様は言ったわね。ホド消滅を警告しても、マルクトもキムラスカも聞く耳を持たなかったって! あれは嘘なの!?」
「……すまない。幼いお前に真実を告げられなかったのだ。しかしヴァンは真実を知っている」

まさかホドまで詠まれていたとはとルークは驚く。
あの亡霊は、知らずにマルクトに仕えているのだろうか。そう考えると自分と同じように感じる。
ルークがアクゼリュスを落とすことすら秘預言に詠まれていたのだ。
ルークはヴァンだけでなくキムラスカ、つまり自身の父親にも利用されていたということになる。
そしてあの亡霊も全く同じように道理にもとる目に遭った。
そう考えると、ルークはなんだか近しいものを感じる。今まで怖いと思っていたはずなのに、不思議とそう思った。

ルークとティアは会議室を後にし、ユリアロードに向かった。
そこからしか外殻大地に行くしか方法がないのだ。
ルークは逸る気持ちを抑えて、譜陣から発する光に飲まれていった。



あとがき
ホドが落とされたのは預言によって詠まれていたから。ルークがアクゼリュスを落としたのは預言で詠まれていたからです。
そこでルークがちょっぴり亡霊ことガイに同情したらなあって…ある種の仲間意識というやつです。
ティアとテオドーロの会話の解釈間違えているかもしれないので注意です。
二周目でこれを聞いた時、この時点でキムラスカとマルクトってある程度ダアトから秘預言を教えてもらって戦争を持ちかけていたんだ、と二人は知ったんだなとか思ったんです。
そしてルークのことを「預言の下息子を殺そうとしていた」とはっきり口にしたのはサブイベントくらいなんですよね。本編中はただ殺そうとしたしか言ってませんけど、実際は預言を知っていたからこそ、皆ルークを殺そうとしたんです。それはそれで悲しいのですが。
つまり、私が一周目でそのイベントを見たからこそ二周目にダアトのみならずキムラスカとマルクトはダアトから情報提供されて知った上で見殺しにしていて、ティアがそういうことだったのかとテオドーロに詰め寄っているように見えたんです。
でも単にダアトだけ秘預言を知っているだけで、キムラスカとマルクトは全く知らないと思っているのかもとシナリオブックを見てそうなんじゃないかと不安になりました。
でも直すと話を作り直すのが大変面倒…いや手間だし、ガイ云々が出来なくなる危険性があるので、『キムラスカとマルクトも秘預言を知っていた』と解釈して下さいね!
私はいい加減ですとも。ええ。いい加減です。(大事な事なので二回言いました)
直した方がよさそうなら直すので、気軽に言って下さい。小心者なので本気でお願いします!



2011/04/15