青い空
真っ青な青空が広がる。 いつも真四角に切り取れられていたそれがどこまで行っても絶えることなく辺りを覆っている。 そんな様子を頬杖を付きながらぽかーんとしながら窓の外を見上げる。 ガイが来て、きっとそれを窘めるんだろうとルーク・フォン・ファブレは漠然と考えていた。 のどかなひと時だ。 当たり前すぎて忘れてしまっていたけど、と自嘲気味になっていると背後でドアが開く音が聞こえた。 何度も使い古され年期の入ったドアは軋む。 「おいルーク。そんなところでぼさっとしている暇があるなら剣の手入れをしてやれよ」 口では怠けている者に対して戒めているようだが、顔は常に微笑んでいてそんな素振は感じない。 ルークはいつものように適当にあしらおうと思って生返事を返すと、珍しくガイは眉根を寄せる。 「お前、それ昨日も言ってなかったか?いい加減にしないと錆びるぞ」 「っう。…わかったよ」 ルークは窓辺の椅子から腰をあげ、のろのろと歩いてベッドに立てかけてある剣を取った。 その様子を見ていたガイは満足げに「偉い、偉い」というかのように笑った。 柄を手にとって鞘から滑らせるように出すと、ルークは驚いた。 「うげえー。錆びてやがる…」 ガイもそれを横目で見ていると、それに気にも留めずルークは軽く溜息をついた。 ガイの言ったとおりになってしまった、と思うと気まずい。 あの時言われたとおりにしていればと思いを巡らしても、以前の刀は戻っては来ないのだ。 ルークは長期戦になるなあと思った。 文句の一つを言ってくると思ったら意外にルークは一言も言ってこない。 ヴァンの賜物だなとガイは思い、感心した。 きっと自分がいってもルークはやらないであろうお坊ちゃん。 せめて何かおやつでも作って持ってきてやろうと思い、ガイはルークの集中が乱れないように、そっと部屋から出ていく。 熱心に刀身を拭き、何度も光に当て錆が落ちていないかと見る。 そもそも何でこんなに暇を持て余しているか。 それは、イオンが倒れてしまったからだ。 六神将に何度も攫われたことがあるらしいイオンは体力の限界に来ていたらしく、街の途中にあった空き家で休むことにした。 ジェイドが渋い顔で「あともう少しなんですがねえ」と言っていた。 苦くいったのは、いつ六神将が来るか分からないからであろう。 そしてルークが珍しく嫌な顔をしなかったのは自分も足に肉刺ができて歩くに歩けられない状態だったからである。 屋敷の中ではこんなに歩けないし、道もこんな石がまき散らされたものではなく、大理石の上をずっと歩いたことしかなかった。足に肉刺ができるのも当然である。 だが、空家にしてはきれいだとティアが警戒していた。 人がつい最近まで使っているように見えた空き家は、どうやら度々商人たちや旅人達がここを宿代わりに使っているからだとガイが博学を披露する。 そうしてやっとベッドにありつけたルークは今現在にいたる。 今では足にできた肉刺もなおり、快調だった。 体調が少し良くなったイオンは外で日光浴だ。 その護衛のためにティアとジェイドはいない。 集中するには絶好な時間だった。 ガイがそっとドアを開けると、まだ熱心に拭き続けている。 辺りはもう薄暗くなり始めてジェイドたちが外で夕飯の準備をしている程、時間は過ぎていた。 ルークが満足そうに刀を見上げて、首を頷かせた。 ガイはどうやらこれでやっと終わったようだなと思い、声をかける。 「おーい。ルーク」 ドアを軽くコンコンと鳴らすとガイに気付き、ルークは嬉しそうに笑った。 屋敷の外を出て初めての笑みだった。最近は全く見せていなかった顔だ。 ガイはそれを楽しそうに見ながら、差し入れを見せてやる。 「これ食わないか?つっても、すぐ夕飯だけどな…」 「食べる、食べる!もう腹へってよー」 ルークが素早く手を伸ばし、ガイからおやつを奪う。 あの時とは打って変った動きの速さにガイは現金なやつだと思う。 「こら、ルーク。お前手を洗ってないだろ」とガイが言っても、「大丈夫だよ、こんくらいの汚れなんか」と早口で答えると、勢いよく頬張る。 「お前それじゃ、夕飯食えないぞ」 「昼飯抜きだから食えるよ!」 ガイのまるで大きくならないぞと物言いに、ムキになってルークは返した。 そして全て食べ終えた頃には「腹いっぱいでもう食えない」というのだった。 ガイはまるでルーク専用の預言(スコアラー)みたいだと、ルークは私憤からちらりとガイを睨みつけるのだった。 あとがき 一応ゲーム序盤あたりを想定して書いたものです。 うん。わかりづらい。本当にすいません(吐血) 誤字脱字があったら教えて下さいね!すぐに直します! 確認をしてるんですが見落としがよくあるのであったら気軽に言ってやって下さいませ。 ブラウザバックでお戻りください。 |